肌の再生と機能回復
幹細胞培養上清液で美しさと健康を取り戻す
幹細胞培養上清液とは?
「幹細胞培養上清液」という言葉は、少し難しく聞こえますが、細かく分けてみると理解しやすくなります。まず、「幹細胞」を育てるための「培養液」、つまり「培地」を使用して「培養」し、その後に得られる「上清液」(=幹細胞が培養された後の液体)のことです。再生医療において、幹細胞とは主にヒトの臍帯、骨髄、歯髄、脂肪などに存在する細胞を指し、それぞれの採取元に応じて名前が変わります(例えば、間葉系の組織から採取したものは間葉系幹細胞など)。これらの幹細胞は、専門施設で培養され、再生医療に応用されます。幹細胞を培養した際に得られる液体には、幹細胞が増殖や代謝する過程で分泌された多くのタンパク質や成長因子(サイトカイン)、さらにエクソソーム(情報伝達に関わる物質)が豊富に含まれているため、これらの成分が組織の修復や再生に寄与する可能性があると考えられ、治療にも使用されるようになりました。
幹細胞培養液と幹細胞培養上清液の違い
患者さんから「幹細胞培養液と幹細胞培養上清液の違いは何ですか?」という質問をいただくことがあります。簡単に説明すると、以下のような違いがあります。幹細胞培養液とは、幹細胞を培養する際に使用する液体で、別名「培地」とも呼ばれます。これは、幹細胞が増殖するために必要な栄養素を含んでおり、培養前の段階での液体です。幹細胞培養上清液は、幹細胞培養液を使って一定期間幹細胞を培養した後に得られる「上澄み液」を指します。培養過程で幹細胞が分泌した成分を含んでおり、これには成長因子やサイトカインなどが豊富に含まれています。この上清液は、滅菌などの加工を経て抽出されます。また、幹細胞培養上清液には「脂肪細胞培養順化液」「順化培養液エキス」「幹細胞成分」「幹細胞エキス」など、さまざまな別名が付けられることもあります。
幹細胞培養上清液の期待できる効果
幹細胞培養上清液には、体内の幹細胞や細胞を活性化するさまざまなサイトカインが含まれています。これらのサイトカインの働きと期待される効果をいくつか紹介します。
上皮細胞増殖因子 (EGF)
皮膚のターンオーバーを促進し、シミやくすみの改善が期待できます。
血管内皮細胞増殖因子 (VEGF)
血管の再生や新生を促進し、発毛や育毛効果があります。
トランスフォーミング増殖因子 (TGF-β)
抗炎症作用や創傷治癒を促進し、抗炎症や創傷治癒、肌質の改善が期待されます。
ケラチノサイト増殖因子 (KGF)
ケラチノサイトの新生を促進し、発毛や育毛効果があります。
インシュリン増殖因子 (IGF)
細胞の増殖を促し、皮膚再生や肌の弾力向上、育毛効果が期待できます。
血小板由来増殖因子 (PDGF)
細胞分裂を促進し、細胞の増殖をサポートします。
幹細胞培養上清液の点滴治療では、これらのサイトカインが血流に乗って体内の機能が衰えた臓器やダメージを受けた組織に集まり、修復や機能回復を促します。特に、解毒機能を持つ肝臓やニキビの原因となる腸内の健康を保つことで、肌荒れやくすみが解消され、肌のコンディションが整います。その結果、全身的な健康の向上や美肌が期待できます。現在、幹細胞培養上清液の有効性を証明するために、さまざまな医療機関や研究機関、バイオ企業で臨床研究や製剤開発が進められています。